AGAの治療(薬)の実際

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こちらでは、病院で受けられるAGA治療についてご紹介します。

AGAに対して悩んでいる方が多くいるため、巷にはAGAの治療が無数にあります。ただし、それらは玉石混交で、なかにはAGAに無効なだけではなく、体の調子をくずしてしまう可能性があるものもあります。現在、医学的にはっきりと推奨されているのは大きく2種類だけです!効果的な方法について知識を深め、適切な治療につなげていきましょう。

目次

  1. AGA治療で推奨されている方法
  2. 5-α還元酵素阻害薬について
  3. ミノキシジルについて
  4. その他の治療法
  5. まとめ

AGA治療で推奨されている方法

日本皮膚科学会からは主に2つの方法を推奨されています。

  • 5-α還元酵素阻害薬の内服
  • ミノキシジルの外用

ただし、責任ある医療機関としてお伝えしておきますと、この2種類の方法どちらとも、AGAの治療はやめると再度進行します。残念ながら現在の医療ではAGAを根治的に治療することはできません。そのため、理想の治療は一生続けることですが、ライフステージの変化とともにAGAとの付き合い方にも変化があると思います。(30代のうちは進行を抑えたいが50代後半になり身の回りも落ち着けば、ある程度は許容できるなど)なので、ご自身にあった治療方法・治療期間をみつけていきましょう。当院もその手助けが出来れば幸いです。

では、それぞれの治療法について見ていきましょう。

5-α還元酵素阻害薬について

5-α還元酵素阻害薬には、フィナステリドデュタステリドの二種類の薬があります。

メカニズム

「AGAとは」のページでも記載しましたが、脱毛はテストステロンから変換されたDHTが、前頭部や側頭部に作用することによって引き起こされます。( AGAとはのリンク )そのテストステロンをDHTに変換するのが「5-α還元酵素」という物質ですが、「5-α還元酵素阻害薬」はこの物質を阻害する役割をもつものです。

つまりDHTによる脱毛の作用を抑えることで、発毛を促しているのです。

効果

直接毛髪の量を増やすわけではなく、脱毛を抑えるという効果のため、早くて3ヶ月、基本的に6ヶ月から1年で効果が認められる場合が多いです。

また、年齢が若い方や早期治療の方がより効果があるので、できるだけ早期治療を推奨しています。

では、1年経過しても効果が認められない場合はどうかというと正直にお伝えすると、その後も効果が認められることは少ないため、5-α還元酵素阻害薬の内服は中止を検討するのが良いでしょう。その場合には、ミノキシジル を試してみることをおすすめします。

副作用

副作用のない薬はありませんので、5-α還元酵素阻害薬にも副作用はあります。男性ホルモンの作用を抑える働きがあることからわかるように性欲減退や勃起不全が副作用として報告されています。ただし、頻度としては使用した方の0.2%程度と稀にしか生じません。また、ごく稀ですが肝機能障害が生じた例も報告されています。

副作用に対して、年に一度の健康診断を推奨します。また、勃起不全が副作用として生じた場合は、PDE5阻害薬で対処が可能ですので一度ご相談ください。( ED薬についてのリンク )

注意点

5-α還元酵素阻害薬には、PSAという物質の数値を低下させる効果があります。このPSAは、前立腺がんかどうかが判断するために用いられており、数値が高ければ前立腺がんの可能性があります。5-α還元酵素阻害薬は見た目上PSAを下げる効果があるため、健康診断などで測定されたPSAを見る場合には、目安として検査結果を2倍にして判断しましょう。

やってはいけないこと

次に使用する方についての注意ですが、こちらの薬は女性は使用してはならないということです。女性には効果が乏しいだけでなく、妊婦や授乳婦の方が服用した場合、胎児に影響を与える可能性があるためです。

また男性の場合でも、20才未満の若い方には安全性の確認ができていませんので、こちらも使用はやめましょう。

以上が5-α還元酵素阻害薬の特徴です。次は、5-α還元酵素阻害薬の2つの薬、フィナステリド、デュタステリドについて、それぞれどのような特徴があるのか見ていきましょう。

フィナステリド(プロペシア)

  • 使用方法:1日1回内服
  • 効果:1mgの服用した場合 5年間では99.4%で改善を認めています。
  • 特徴:デュタステリドよりも先に開発されたため、現在ジェネリックが開発されています。そのため、安価に販売されています。

デュタステリド(ザガーロ)

  • 使用方法:1日1回内服
  • 特徴:フィナステリドよりも新しく開発されました。主な違いとしては、作用の種類です。5-α還元酵素にはⅠ型とⅡ型の2種類があります。フィナステリドはⅠ型のみに作用しますが、デュタステリドはⅠ、Ⅱの両方に作用します。
  • 効果:特徴から理論的にはデュタステリドの方が効果があるように思われますが、実際のデータではフィナステリド とデュタステリドの間で効果はありません。ただし、フィナステリドで効果がなかった人がデュタステリドに変更して改善できた例もあります。

このため、当院では価格の安いフィナステリドを先に服用し、効果が不十分だった場合にデュタステリドを使用することを推奨しています。

ミノキシジルについて

メカニズム

次にミノキシジルについてご紹介します。まずは、脱毛に対してどのように作用するのかについて見ていきましょう。

ヘアサイクル

引用:川島 眞 Bella Pelle Vol.3No..3 2018-8 28-30

ミノキシジルは、ヘアサイクルの成長期への移行を促し、成長期を伸ばすことで、発毛を促進します。

ミノキシジルの外用

ミノキシジル について大切なことは、内服と外用で推奨度は大きく違うということです。先に結論として外用は推奨されますが、内服は推奨されません。

  • 使い方5%のものを1日2回、1回1mlを脱毛部に直接塗布(1%,2%など他の濃度でも効果はありますが、5%のものが最も有効です)
  • 副作用皮膚症状が副作用として報告されています。具体的には、瘙痒,紅斑,落屑,毛包炎,接触皮膚炎,顔面の多毛などですがいずれも軽症です。

ただし、ミノキシジル自体の副作用かどうかははっきりとしない部分があり、ミノキシジル を溶かして液体にするための溶媒によって副作用が起きたという報告もみられています。基本的に副作用が出た場合には使用を中止する必要があります。ただし、どうしてもミノキシジル の外用を続けたい場合は、別の会社のミノキシジル概要薬を試してみると落ち着く可能性もあります。

  • 注意点使用し始めてすぐは、一過性の脱毛が起こることがあります。メカニズムでご説明したように、ミノキシジル はヘアサイクルに作用します。それによって、治療初期にヘアサイクルの休止期が訪れます。これによって一過性の脱毛が生じますが、その後ヘアサイクルが進み発毛しますので、一過性の脱毛でミノキシジル の使用を中止しないことが大切です。

ミノキシジルの内服

一方、ミノキシジルには内服薬も世界的にはあります。ただし、効果も十分に検証されていないうえ危険性があるため、日本皮膚科学会では使用すべきではないと明言されています。

実際に、他のAGAクリニックでは、「他院も処方しているから」というだけの理由で処方しているところもあります。しかし、AGAの治療薬として世界的にも認可されておらず、日本でも認可されていません。当院では、「他院が処方していようとも」心不全など、命に関わるリスクがあるため、日本皮膚科学会の見解に沿って、内服はすべきではないと判断しています。そのため、当院では処方しておりません。

基本的に推奨されるのは、ここまでです。ただし、AGAの治療法として現在研究中のものを含めて、数種類あります。これらの概要について簡単にご説明します。

その他の治療法

植毛術

自分の毛を植毛する場合と、人口の毛を植毛する場合の2種類があります。ですが、人口の毛は感染症などのリスクが高いため推奨されていません。実際、アメリカではその危険性から禁止されています。

皮膚科学会は、フィナステリド及びデュタステリド内服やミノキシジル外用による効果が十分でない症例で、他に手段がない場合にのみ、植毛術の検討が推奨されています。

レーザー照射

頭皮にレーザーを照射し、発毛を促す方法です。ある程度の効果はありますが、レーザーの種類や波長、出力において統一された見解がなく、適切な機材も不明です。今後、フィナステリド ・デュタステリド内服やミノキシジル外用につぐ治療法となる可能性があります。ただ現在積極的に推奨はされません。

アデノシン外用

こちらもレーザー照射同様、ある程度の効果はあると思われますが、データが少なくミノキシジルの外用ほどは推奨されていません。

その他

他にも、カルプロニウム塩化物の外用、t-フラバノンの外用、サイトプリン・ペンタデカンの外用、ケトコナゾールの外用などがありますが、いずれも効果がある可能性はある一方で明確な根拠はないというのが現状です。

まとめ

・AGA治療には5-α還元酵素阻害薬内服ミノキシジル外用がある・デュタステリドもフィンステリド も基本的に効果は同じ・その他の治療法もあるが現状はあまり推奨されない

次は、AGA治療において気をつけるべきこと、禁止事項についてお伝えします。正しい治療をおこない、理想の見た目に近づきましょう!

参考文献Sato A,et al. J Dermato/,2012:39:27-32.Jung JY, et a. Int J DermatoL 2014 53(11)1351-7Chen L et al. Aesthetic Plast Surg. 2020 Mar 12川島 眞 Bella Pelle Vol.3No..3 2018-8 28-30福本 桂資郎 日本性機能学会雑誌 2015-8 30 2 142

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