はじめに
ED治療薬のなかではシアリスはもっとも新しく作られたために、さまざまな強みがあります。
薬の効果の作用時間が長いことや、食事の影響をうけないことなどに加えて、禁忌が少し少ないこともシアリスの利点です。
それでは、シアリスをどういう方が使えないのか、安全に使えるのはどういう方かみていきましょう。
【要点】
- シアリスを使えない方は基本的にはバイアグラと同様
- ただし、アミオダロン塩酸塩の方はシアリスは使用可能
薬を使えるかのルール
まず一般的な処方薬が適切に使用できるかという点で3段階に分かれます。
- 禁忌
- 慎重投与・注意
- 問題なく使用可能
禁忌の方は使用すると危険性が高いため使用できません。つまり処方できません。
慎重投与・注意(以降、注意と記載)の方は使用可能だが注意が必要です。つまり処方可能です。
問題なく使用可能な方は、特別の注意は必要ありません。
「禁忌」「注意」「問題なし」の判断は製薬会社が薬を開発した際に、人体への投与を含めた研究によって決められます。
それでは実際にバイアグラの禁忌・注意についてみてみましょう
シアリスが使えない方
まずは少し読みにくいですが、正確に知るために製薬会社から公式に発表されている禁忌を見てみましょう。
(順番などはみやすいように変更しています)
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方
- 硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)を投与中の方
- 心血管系障害を有するなど性行為が不適当と考えられる方
- 重度の肝機能障害のある方
- 低血圧(血圧<90/50mmHg)又は 管理がなされていない高血圧(収縮期血圧>170 又は拡張期血圧>100mm )
- 脳梗塞・脳出血の既往歴が最近6ヵ月以内にある方
- 心筋梗塞の既往歴が最近3ヵ月以内にある方
- 網膜色素変性症の方
- 可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤(リオシグアト)を投与中の方
- 不安定狭心症のある方又は性交中に狭心症を発現したことのある方
これだと分かりにくいので、もう少し分かりやすく言い換えると
- これまでシアリスでアレルギーがあった方
- 狭心症や心筋梗塞などの持病があり硝酸薬を飲んでいる方
- 心臓が弱っていてSEXの運動量に耐えられない方
- 肝酵素(AST,ALT)が200近いなど
- 低血圧(<90/50mmHg)や高血圧(>170/100)
- 6ヶ月以内に脳卒中を起こした方
- 3ヶ月以内に心筋梗塞を起こした方
- 網膜色素変性症の方
- 肺動脈性肺高血圧症に対してリオシグアトを投与中の方
- 症状が進行している狭心症のある方
シアリスの特徴として
禁忌に関してはシアリスはバイアグラよりも緩いです。
ポイントとしては
- 心筋梗塞後3ヶ月以降で使用可能(バイアグラ、レビトラは心筋梗塞が6ヶ月以内の人は禁忌)
- アミオダロン塩酸塩が併用可能
という点です。
ただし、シアリスがバイアグラよりも厳しい点としては
- 「不安定狭心症のある方又は性交中に狭心症を発現したことのある方」が禁忌になります。
つまり心筋梗塞に関してはバイアグラよりも緩いものの、心筋梗塞と似た病気である狭心症(不安定狭心症)に関してはバイアグラよりも厳しくなっています。
シアリスの使用に注意が必要な方
注意は大きく2つに分けられます。薬の量に注意が必要な方と副作用に注意が必要な方です。
シアリスの量に注意が必要な方
- 軽度~中等度の肝機能障害のある方
上限量:10mg 開始量・投与間隔:通常
- 中等度の腎障害(Ccr<60mL/min)のある方
開始量:5mg 上限量:10mg 投与間隔:5mgの場合24時間、10mgの場合48時間
- 重度の腎障害(Ccr<30mL/min)のある方
開始量:5mg 上限量:5mg 投与間隔:通常
薬の量として、開始量と上限量、そして投与間隔の3つに注意が必要です。
開始量は飲み始めの量で、通常の方はシアリスの場合10mgです。
副作用が起きる可能性が高い場合は慎重にはじめましょう、ということです。
上限量は一度に飲める最大量で、通常の方はシアリスの場合20mgです。
薬を体内でうまく処理できない方は薬の濃度が濃くなってしまうために上限量が少なめになっています。
投与間隔は一度薬を飲んでから次の薬を飲むまでの時間です。シアリスは通常24時間以上時間をあけて内服します。
これも上限量と同じで薬を体内でうまく処理できない方の場合に投与間隔をより長くする必要があります。
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バイアグラとの違いとして
- 高齢者の方でも通常量から開始できる
- 中等度の腎障害でも用量を減らして始める必要がある(バイアグラは重度の腎障害のみ減量)
シアリスの副作用に注意が必要な方
- 陰茎の構造上欠陥(屈曲、陰茎の線維化、Peyronie病等)の方
- 鎌状赤血球性貧血、多発性骨髄腫、白血病等の方
- 出血性疾患又は消化性潰瘍の方
- 重度勃起不全の方
これらの方はシアリスの使用は通常通りできますが、それぞれ特徴的な副作用がでる可能性があるため、注意が必要です。
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それぞれ理由として
- 性行為が困難であり痛みを伴う可能性がある。
- 持続勃起症のリスクがある
- 出血性疾患又は消化性潰瘍のある方に対する安全性は確立していない。
- 心臓の病気のリスクが高いため
となっています。
まとめ
シアリスの使用には禁忌と注意の2つの気をつけなければならない方がいます。
分かりにくい場合も受診時に医師がしっかりと確認し、禁忌の方には処方できないこと(その際には返金させていただきます)、注意が必要な場合にはそのことをお伝えしますので、お気軽に受診してください。