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ゲイについて

更新日:2021年05月25日

ゲイは病気か

はじめに

ゲイは男性の1~4%と言われます。つまり、学校の1クラスに1人ほどいるということです。
しかし実感として自分のまわりにゲイがちらほらいるという印象はあまりないでしょう。
それはなぜかというと
「ゲイ」を誤解している可能性
があります。
ゲイとはなにか、ゲイは病気か、などについてご説明します。

ゲイの有名人は誰か

まず、ゲイの有名人といえば誰を思い浮かべるでしょうか。
今もっとも有名な人ではマツコ・デラックスさんではないでしょうか。
他にも、りゅうちぇるさんやはるな愛さんを思い浮かべる方もいるかもしれません。

しかしこの中で**「ゲイ」はマツコ・デラックスさんのみ**です。
**LGBT(LGBTQ+)**という性の分け方がありますが、**G=ゲイは「男性を性的対象とする性自認が男性」**を指します。
性自認とは精神的につまり本人の自覚として自分の性がどちらと考えるかということです。

りゅうちぇるさんは「女性のような好みを持った性自認が男性性的対象は女性」の方です。はるな愛さんは「身体的(生物的)には男性だが性自認には女性」つまりトランスジェンダーです。

ゲイとトランスジェンダー

この3人の方はテレビでは「オネエ」として一括りにされることもあります。
ただしオネエ=ゲイではありません。
またゲイとは「男性を性的対象とする男性」ということなので、いわゆるオネエ的ではなくともゲイということはありえます。
このように**「ゲイ」と「トランスジェンダー」や「可愛いものが好き」ということが違う**ということです。

繰り返しになりますがゲイとは**「男性を性的対象とする性自認が男性」**ということです。
はじめのゲイが1~4%いても身の回りにいる気がしないのいうのは、ゲイは身近にいても「性対象が男性」というだけでオネエというわけではないので、本人が公表しないかぎり気づかないからです。

(性に関する認識は本当に多様で、また本人にしか分かりません。ここではメディアで本人が公表している性を元にご説明しています)

ゲイは病気?

今ではゲイというのは個性の一種と考えられていますが、かつてはゲイは病気と考えられていました。
ではなぜゲイは病気と考えられていたのか。そこにはさまざまな理論が考えられていました。

  • 病理学の理論:子宮内ホルモンなどの身体的な原因や性的虐待など精神的な何らかの病的な原因がある。同性愛は悪いものである

  • 未熟の理論:同性愛は異性愛へのステップであり、その発達が途中で止まるとゲイとなる。同性愛は悪いとまではいわない。(フロイトもここに入ります)

  • 正常の理論:同性愛は自然な個性であり、左利きの人がいるように同性愛もありうる。同性愛は良いものである。

このような理論がぶつかり合いながら、同性愛は病気か・治療すべきか・治療可能かなどの議論がなされてきました。

ゲイはどうして病気でなくなったか

1952年にアメリカ精神医学会が「診断マニュアル(DSM-Ⅰ)」を作成した際に、同性愛を社会病質的人格障害として分類しました。
その後1968年のDSMの2版(DSM-Ⅱ)では、同性愛は性的逸脱としてやはり病気として分類されています。

(ちなみにこの**「診断マニュアル(DSM)」**は世界の精神医学のスタンダードになっており、日本を含め世界中の精神科に影響を与えます。最新のものは2013年に発行された5版(DSM-Ⅴ)です。)

しかしその後、精神医学ではなく性医学からごく稀だと考えられていた**同性愛者が10%とかなり多くいるということが公表されました。(現在では1~4%**が同性愛者と考えられています)

このようなことを踏まえて、「精神疾患とは主観的な苦痛や社会的な役割を果たせないもの」である一方、同性愛はこれに含まれないとして1973年にアメリカ精神医学会の評議員たちは同性愛を診断マニュアル(DSM)から削除する決定をしました。

しかし、この評議員たちの決定を多くのアメリカ精神医学会の精神科医たちはすんなりとは受け入れませんでした。そのため、10000人いる会員が評議員に賛成するか投票しました。
結果、**58%**が評議員の決定に賛成したため、同性愛はDSMから削除されました。

ところが、このように同性愛を病気とするかは議論が非常に残っていることもあり、「同性愛」という言葉はなくなりましたが、**「性的指向性障害(SOD)」**と言い換えられただけで実質的には同性愛は病気のままとなりました。

その後10年以上経過してから同性愛は病気ではないという認識が広まり、1987年に診断マニュアル(DSM)の3版の改訂版(DSM-ⅢR)になって同性愛は病気ではないと認められました。

ゲイは左利きのようなもの

このように医学会はゲイが病気ではない、という結論にいたりました。つまり、はじめのゲイの理論としては「正常の理論」に落ち着きました。

  • 正常の理論:同性愛は自然な個性であり、左利きの人がいるように同性愛もありうる。同性愛は良いものである。

このことを踏まえて、今後どのような人がゲイになるのか、というような研究が行われることはないでしょう。

まとめ

  • ゲイとは「男性を性的対象とする性自認が男性」をさす
  • ゲイ=オネエではない
  • ゲイはかつては精神医学的に病気であったが1980年代に病気ではなくなった
  • ゲイは左利きのようなもの

【参考文献】
Behav Sci (Basel). 2015 Dec; 5(4): 565–575

老木医師

監修 老木悠人 医師
ゴールドクリニック 院長

医学的根拠に基づいた性に関する情報、性医学の発信に力を入れています