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自転車とED

更新日:2021年06月15日

自転車に乗るとEDになりやすい

はじめに

自転車に乗る方(自転車乗り)は最近増えてきています。 ジムなどでダイエット目的に乗る方から、趣味でサイクリングをするという方など自転車乗りの人口は増えています。

基本的には健康に良い自転車ですが、男性に関しては**「自転車はED(勃起不全)になりやすい」**ということがまことしやかに言われてきました。 実際のところ、自転車はEDになりやすくなるのか、最新の性医学の結論としては

  • 自転車に乗る人は自転車に乗らない人よりも2倍EDになりやすい
  • ただし自転車の中でも特にロードバイクなどの本格的なものの方がリスクが高い
  • ノーノーズサドルの有効性ははっきりしない

ということです。 まだまだ研究が必要な領域ですが、もし最近EDになってきた、勃起が弱くなってきたとお悩みの方で自転車に乗る時間が増えている場合にはそれが原因かもしれません。

自転車でEDになるメカニズム

約4800人を対象にした研究から自転車乗りはそうではない人に比べて2倍EDになりやすいという結果がでました。

なぜ自転車に乗るとEDになるのかという確実な原因というのはいまだに解明されていません。 現在考えられている原因としては、長期的には、陰部が圧迫されることで勃起に関わる神経が圧迫されて損傷すること、短期的には事故・転倒の際に会陰部を打つことによる血管の損傷が考えられています。

自転車での神経の圧迫によるED

男性の陰部の解剖

より正確には陰部神経が骨盤底筋の中を通る際に恥骨弓によって圧迫されることによって引き起こされます。 特にロードバイクなどで前傾姿勢、とくに骨盤が前傾する姿勢をとることで神経が圧迫されると考えられています。

ある研究では540km走るサイクリングイベントに参加した後、半年以上EDになったと報告されています。しかしその後改善がみられたため、1回の長期間のサイクリングであれば比較的すぐに改善すると考えられています。 つまり、自転車からEDになった場合に、自転車に乗り始めてすぐの場合にはしばらく自転車を休むことで神経が回復し、元に戻るということです。

ただし、前傾姿勢以外にもサイクリング中に揺れる際に陰部に振動の衝撃が繰り返されることで、神経が傷つく可能性も考えられています。

自転車事故による血管の損傷によるED

また、これ以外にも自転車事故とEDとの関連性についても指摘されています。 自転車で事故というか転倒するような形になる際に、自転車のトップチューブ(自転車のフレームの上の部分)に会陰部を打ってしまうことが少なくありません。 その際に中の会陰部の血管が傷ついてしまっている可能性があります。

自転車によるEDの予防

これらのメカニズムから、自転車によるEDの予防には、圧迫を軽くするために幅の広いサドルにすることや、サドルから立ち上がることなどが考えらています。 しかし、理論的には有効と考えられますが、どこまで効果があるのかは今のところはっきりしていません。 もし、どうしても自転車に乗り始めてしばらくしてからEDになってきたという悩みがあるのであれば、しばらく自転車をお休みするのが一番良い解決法です。

ノーノーズサドルのED予防効果

自転車に詳しい方、自転車でのEDについて調べたことがある方であれば、ノーノーズサドルについて聞いたことがあるかもしれません。

ノーノーズ サドル

先ほどの自転車からEDになるメカニズムで陰部、会陰部の圧迫が大きな原因の一つと考えられていると説明しました。 そんななかで、陰部への圧迫を減らすためにノーノーズサドルというものが考えられました。 理論的にはノーズを短くすることで陰部への圧迫を減らすことはできますし、実際に会陰部への圧力は減ります。

しかし、肝心のEDの改善には今のところ確かな効果は認められていません。 ただしまだこれに関しても研究が少ないので、今後有効性が認められるかもしれません。 今言えることとしては、少しでもED改善にできることをしたい・かつ自転車は乗り続けたいという方の場合には、ノーノーズサドルを試してみてもいいかもしれません。ただし劇的な効果を期待しない方がいいというところです。

どういう人が自転車でEDになるのか

ここまでざっくり「自転車」と言ってきましたが、より正確にはロードバイクなどの体を前傾にして乗る自転車**が主です。また、乗り方も外を走る方が対象です。

明確な研究は不十分ですが、ジムでのマシーンによる自転車の場合には、それほど前傾姿勢をとることも少なく、振動によって会陰部が刺激されることもないため、EDのリスクが上がるとは考えにくいです。

また、一般的なシティサイクル(ママチャリ)の場合にも、ロードバイクのように骨盤を前傾しないため、EDのリスクは低いと考えられます。

また、一般的に自転車自体は心肺機能を改善し、生活習慣病、心筋梗塞などの血管の病気のリスクを下げてくれます。 そのため、EDの心配があまりない方はぜひ自転車を続けて、EDが心配な方も自転車の乗り方の工夫などをぜひ考えてもらえればと思います。

まとめ

まだまだ今後の研究が必要な領域ですが、今言える結論としては、自転車はEDのリスクを上げるということです。

そして実生活では、「最近ED気味になってきた」という方で自転車の心当たりがある場合には、自転車が原因の可能性があると考えてもらうといいかもしれません。また、その場合にはしばらく自転車をお休みすることで回復することがあります。 ただし、さきほど出したように540km走るイベントで半年以上EDになったという例がありますので、すっきりと治るまではしばらく時間がかかるかもしれません。

自転車は体全体にはとても良い効果があるので、上手に付き合っていってくださいね。

【参考文献】
Sexual Medicine Reviews Vol.9 Issue2 p304–311
ノーノーズサドル画像引用:https://gearjunkie.com/biking/two-arms-no-nose-ps1-1bike-saddle-review

老木医師

監修 老木悠人 医師
ゴールドクリニック 院長

医学的根拠に基づいた性に関する情報、性医学の発信に力を入れています