
監修 老木悠人 医師
ゴールドクリニック 院長
医学的根拠に基づいた性に関する情報、性医学の発信に力を入れています
更新日:2021年05月25日
早漏とはなにか、というところでもご説明しましたが早漏の「早い」というのは、「物理的に早い」ことだけではなく「相手が満足するよりも早い」という場合にも問題になります。
そのため「早漏を改善する」ということは
自分の射精を遅らせるように鍛える
相手を喜ばせるように尽くす
2通りの解決法があります。
順番にみていきましょう。
まず早漏の治療のまとめでご説明したとおり、射精のコントロールをするためのトレーニングをすることで早漏が改善するのは後天性早漏の方だけです。
生まれついての早漏である先天性早漏の方の場合には、基本的に薬を使用しないと早漏は改善しませんのでご注意ください。
早漏改善方法には世界的に有名なトレーニング方法があります。
その名もセマンズ法です。
セマンズ法は射精をコントロールするためのトレーニングです。
いきなりハードルがあると思いますが、セマンズ法は極力パートナーと一緒に行うものです。
なかなかパートナーの協力が得られない場合には自分一人で行ってください。
一人で行った場合にもある程度有効であるということが分かっています。
**【セマンズ法のやり方】 **
パートナーが陰茎を手で刺激し、男性が射精しそうになったら刺激を中止するということを3回繰り返し、4回目で射精する。
そして、より具体的には、はじめはペニスが乾いた状態で行います。
そして乾いた状態で射精を耐えられるようになればローションを使い、より挿入した状態に近い状態で同じように行います。
早漏の原因の一つはオーガズムに近い状態=射精しそうな状態が分からないことにあります。
「射精が近いかどうかなんて分からないだろう」
と思われる方は、それこそが早漏の原因と言えます。あまり射精について人と詳しく話すということはありません。
しかし、多くの男性は「射精が近い」という感覚を認識できます。
体のメカニズムとして射精はある段階までくると我慢ができなくなってしまいます。
このトレーニングで、その我慢できる限界を覚えていくことで射精をコントロールできるようになります。
セマンズ法は、射精をコントロールするトレーニングとして最も古くからある方法です。
そして、おおむね先ほどご説明したやり方で間違いありません。
はじめにお伝えした通り、セマンズ法の基本は**「パートナーと行うこと」**です。
その大きな理由は射精をコントロールするだけではなく、パートナーとの関係を育むということがあります。
もっとも初期のセマンズ法では、男性はただ刺激を受けるだけでなく同時に女性にも愛撫をします。
現在巷にあふれるセマンズ法では、この部分がすっかり抜け落ちています。
しかし、本来の早漏治療としてのセマンズ法でも自分が気持ちよくなるだけではなく、パートナーにも快感を与えることが重要と考えられていたのです。
それでは、早漏の改善法のもう一つ相手を喜ばせることについてみていきましょう。
パートナーには色々あると思いますが、ここでは女性のパートナーの場合を考えます。
結論としては、シンプルに挿入以外の前戯・後戯を充実させるということです。
もう少し具体的にみていきましょう。
5000人以上の女性に調査をした結果です。
およそ半数の女性が前戯・後戯ともに不十分と考えています。
前戯の平均時間は約17分、後戯の平均時間は約6分ですが、女性は前戯・後戯ともに+5分希望しているということがわかっています。
もちろんそれぞれパートナーによって考えること、希望は違うのでしっかりパートナーとコミュニケーションをとることが大事です。
ただ、多くの女性が前戯・後戯に不満を感じているのは確かなので、前戯・後戯に5分ずつ、あわせて10分、もう少し愛撫の時間を増やしてみることを考えてください。
射精のコントロールをトレーニングする際に、注意すべきこと2点あります。
まず1つ目は、オナニーの最後は射精をする、ということです。
オナニーの際に寸止めだけで射精をせずに終えてしまうと精液が精管にとどまるために精管に炎症が起こり、射精の際に痛みを伴うようになってしまった方がいます。
この方は、オナニーの際は毎回射精するように指導を受けて症状が改善しました。
セマンズ法も最後はしっかりと射精をして終えてください。
2つ目は、膣内射精障害の危険性です。
トレーニングにおいて手での刺激を強くしすぎると、膣内で射精できなくなってしまう=膣内射精障害を引き起こす場合があります。
パートナーとの良好な関係を築くためにトレーニングを行っているのに、膣内で射精できなくなってしまえば意味がありません。
手で刺激を与える場合には、弱く握ることが大事です。
どうしても握る強さがわからないという方には、TENGAのシリーズのなかで膣内射精障害を改善を目的としたものもあります。
このシリーズはレベル1〜レベル5まで強さでレベルが分けられています。
基本的に膣内射精障害のためのものですので、一番強い=レベル1から一番弱い=レベル5に慣れていくのですが、早漏改善を目的とした場合には逆にレベル5からレベル1に徐々に刺激を強くしていくという方法をとります。
実際にこのようにして徐々に刺激になれさせるようにした結果、もともと挿入時間が4分程度だったのが13分に伸びたという結果があります。
ですので、手での刺激が難しいという方は、こちらも試してみてください。
早漏の改善は、射精をコントロールするか相手を満足させる2通りの方法がある
射精のコントロールはセマンズ法という射精の我慢を繰り返す方法がある
可能な限りセマンズ法であってもパートナーと行う
パートナーを満足させるために前戯・後戯を充実させる
【参考文献】
日本性機能学会雑誌 第 34 巻 第 1 号 2019 年 6 月 38-39
J sexual medicine VOLUME 3, SUPPLEMENT 4, 303-308
泌尿器外科 2019年 32(6),833~837
J sexual medicine VOLUME 16, ISSUE 9, P1324-1327
J sexual medicine VOLUME 4, ISSUE 4, P831-837
Journal of Assisted Reproduction and Genetics volume 35, pages213–220
日本性機能学会雑誌 22(3)- 287-300, 2007(図引用)
西日本泌尿器科 81(5)- 556-556
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