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美女とゴリラ

更新日:2021年05月25日

性欲は見た目が9割ではなくする

はじめに

上の写真を見たことがあるでしょうか。
一時期ネット上で流行した画像です。
はじめは、誰もが引っかかると思いますが、この写真は美女に目がいってゴリラに気が付かないというものです。
これは性的な関心のために他のことに目がいかなかった例として言われています。

もう一つ身近な例として性行為の前はあんなに魅力的に見えた異性が性行為の後にはそうでもない、ということは男女ともにしばしば言われます。

このことを踏まえると、この写真の問題は**「男はおっぱいに目がいきやすい」というほど単純な話ではありません**。
これらは**「性」と「視覚」**についての観点から説明できます。
さらには、このことを応用すれば、美男美女でなくともモテることが可能になるかもしれません。
どういうことかみてみましょう。

選択的注意の問題

最初の写真は一般的に言われる理由としては**「選択的注意」**の問題です。
選択的に注意に関するもっとも有名なのはハーバード大学の研究です。
選択的注意について聞いたことがないという方はぜひ、次の動画を見てください。

これは白いシャツの人が何回パスをしたかを数えるテストです。
この続きは動画を見た後に読んでください。

見終わったでしょうか。
非常に有名なテストなので、ご存知の方もいるでしょうが、これはパスを数えることに集中していると画面上に現れるゴリラに気づかないという**「選択的注意」**をわかりやすく示したものです。

人は、注意を向けたもの以外はたとえ目に写っていても認識できないということです。
一番はじめの美女の画像がゴリラを使っているのも、この研究のオマージュだと思います。
つまり、女性に選択的注意を払っているためにゴリラに気づかない、ということです。

しかし、はじめに、で示したもう少し身近な例を考えてみましょう。
性行為の前には魅力的に見えた相手が性行為の後には魅力的に見えなくなるという現象です。
性行為の前で相手の見た目に注意を払わないということはあるでしょうか。

性医学の観点から言うと、これらの問題は選択的注意の問題ではありません。
性的な刺激を受けると、視覚機能が実際に落ちるのです。
詳しくみてみましょう。

性的な刺激は視覚を上回る

結論として男性と女性ともに、性的刺激があった場合には視覚機能は落ちるということです。

もう少し詳しくみていきましょう。
これは、女性に「AV(アダルトビデオ)を見せた場合」と「動物の映像をみせた場合」の脳の働きを比較したものです。

脳血流の画像

これは、女性に性的な映像を見せた場合と動物の映像を見せた場合にPETという検査で脳の血流の違いをみたものです。
赤いところが、脳の血流が落ちたところです。
BA17という場所、つまり一次視覚野という視覚に関してもっとも重要な部分の血流が落ちていることがわかります。

つまり、性的な刺激があると、注意力の問題ではなく物理的に視覚機能は落ちるのです。
性的な刺激によって視覚への脳の血流が落ちる原因として、性行為が生命にとって非常に重要なものだから視覚よりも優先されるという仮説が考えられています。

まとめ

今回のことをさらに発展させると、「美男美女でない人がなぜモテるのか」の答えになるかもしれません。
はじめに出した性行為の前後で相手への魅力が落ちてしまうということも、性的なスイッチが入った状態では見た目が正確に評価できておらず、性的な刺激が落ち着いた状態で視覚が十分に働くと見た目が正確に評価できるということです。

つまり、いわゆる美男・美女ではなくても雰囲気を作るのが上手であれば、性的なスイッチが入ることによって相手の視覚機能が落ちるために、見た目があまり問題にならないということです。

【参考文献】
脳血流の画像引用:Journal Sexual Medicine  VOLUME 9, ISSUE 6, P1579-1587
NeuroImage Volume 20, Issue 2, October 2003, Pages 855-869
画像引用 ゴリラと女性:https://imgur.com/gallery/SlMmrMp

老木医師

監修 老木悠人 医師
ゴールドクリニック 院長

医学的根拠に基づいた性に関する情報、性医学の発信に力を入れています