
監修 老木悠人 医師
ゴールドクリニック 院長
医学的根拠に基づいた性に関する情報、性医学の発信に力を入れています
更新日:2021年06月03日
ED(勃起不全)の人、もしくは自分がEDか心配な人は、薬を使う前に少しでも自分でどうにかしようと思われます。
その際に気にされることは、食事です。
また、巷にも**「EDに効く食事!」「精力のつく食事!」**などとうたわれているものがありますが、ほとんどが医学的根拠はありません。
誠実にお伝えすると、劇的にEDに効果のある食事というものはありません。
仮にそのようなものがあれば、それを抽出した薬が作られます。
そのようなものは実在しません。
しかし、ゆっくりですがEDに効果のある食事はあります。
面白みのない結論ですが、いわゆる健康的な食事です。
つまり、地中海食といわれる野菜やフルーツ、魚を食べるようにして、加工肉などを避ける食事です。
なかには確かな医学的根拠もなく、EDに効果のある食事としてレシピを公開しているところもあります。
また、「精がつく料理」としてうなぎやニンニクなどが言われることもありますが、これも医学的根拠はありません。
EDに効果のある可能性のある食材として言えるのは、唯一スイカぐらいです。
また、スイカも十分に効果を出そうと思えば、毎日スイカを1/7個食べる必要があります。
そして効果がでるのは、2週間ほどこの生活を続けてからです。
スイカ農家の方でもない限り、これは非現実的です。
さまざま研究されていますが、今のところEDに効く**「食材」**というものはありません。
しかし、全体としてどういう食事をこころがければいいのかはわかっています。
一度、基本に立ち返ってみましょう。
EDというのは、勃起不全です。
勃起というのはペニスに血液が流れることで生じます。
そのため、勃起不全が起きるということはペニスへの血管が傷ついているということです。
ペニスも体の一部であるため、ペニスの血管が傷ついているということは全身の血管が傷ついているということです。
つまり、EDの方は全身の血管が傷ついているということです。
これは、EDの方は心臓発作を起こしやすいという事実からもわかります。
これは逆に考えれば、全身の血管に良いということがEDにも良いということです。
そして、全身の血管に良い食事というのは、世界的に研究されていて、その結論が地中海食です。
地中海食はEDだけでなく、血圧や高コレステロール、糖尿病などの生活習慣病の改善に有効です。
そしてEDに対する効果でいうと、地中海食はEDのリスクを22%下げます。
特に肥満や糖尿病がある方では地中海食がより有効です。
ただ、食事内容を変更するというのは、簡単なことではありません。
体に影響を与えるのはそれだけ大変なことということもできますが、ここで大切なのは、EDはあくまできっかけということです。
これを機に食事を変更すれば、EDも改善するだけでなく、血圧や糖尿病などの生活習慣病が改善することでさまざまな良い効果があります。
地中海食をもう少し具体的にいうと、野菜・果物・豆・魚をよく食べて、赤身肉や加工肉をあまり食べないようにすることです。
ただし、気をつける必要があるのは、野菜や果物をジュースで摂取することはよくありません。
よく一日分の野菜としてジュースなどがありますが、野菜や果物をジュースにしてしまうと中に含まれる食物繊維などがぬけてしまうことで、体に良い作用はなくなることがわかっています。
EDはこれを食べて改善!というような食事はありません。
やはり即効性があるのはED治療薬になります。
しかし、地中海食はEDだけではなく、生活習慣病の改善、ひいては寿命の改善につながります。
そのため、これを良い機会として地中海食をこころがけてみることをおすすめします。
まずは、ナッツを食べるようにすることや、野菜を多めに食べることなどからはじめてみましょう。
ただ、これは私の個人的な考えですが、EDを含めて健康は人生で重要ですが、人生の一部でしかありません。
そのため、体に良い食事つまり地中海食にすることは、体に良いことには間違いありませんが、それもご自身の人生でどう折り合いをつけるかです。
正しい知識を身につけて上手に医療と付き合っていきましょう。
【参考文献】
JAMA Netw Open. 2020;3(11)
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監修 老木悠人 医師
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